都市で生活する上で当然誰しもが目にする「壁」。
デザイナーであるカガリユウスケ氏は、その誰もが見慣れた「壁」を愛する、一風変わった作家です。
いつしかその愛情が”持ち歩きたい”という欲求に変わり、
革に建築用のパテを塗り、
鞄や小物などを手作業で製作するようになったことから、“kagariyusuke”はスタートしました。
例えば日常で目にする外壁も
雨に打たれて汚れたり、物体が当たって傷が付いたり、少しずつその姿を変えていきます。
kagariyusukeのアイテムも同様に、使い込んだ“軌跡”が、経年変化としてその佇まいに宿り、
自分だけの「壁」のようにその表情を彩ります。
ハウス@ミキリハッシンにて行われた「無駄な部屋 ハウス@カガリユウスケ」は kagariyusuke が表現のテーマとしている“壁” を題材に、
ハウス@ミキリハッシンのコンセプトである” 家” に落とし込み、生活を豊かに彩る様々なアイテムを提案しました。
私たちは暮らしを豊かにしたいと心のどこかで思っています。
家という限られた空間での暮らしは、極端に言えば、
最低限の家具/ 最低限の明かり/ 最低限の食器/ 最低限の食料/ 最低限の衣服 これさえあれば充分です。
ただし、暮らしに必要な要素のみでシンプルに日々を過ごすことが、暮らしを豊かにしてくれるとは限りません。
最低限の暮らしは、ささやかで美しいけれど、
“ こんな家具を置きたいな”
“ こんなランプでこんな光の下で”
“ こんな素敵な食器に美味しい料理を添えて”
“ あの服を着て家の中でくつろぐのが一番の幸せ”
大なり小なり、こんな願望があるのではないでしょうか。
言ってしまえばこれは” 無駄” な感情です。
シンプルな暮らしが叫ばれる今だからこそ、
無駄をダメなことと決め付けずに、愛でてみる。
無駄な部屋 ハウス@カガリユウスケは
“ 家” に“ 壁”を飾る、いわば無駄な提案ばかりですが、
どのアイテムにもカガリユウスケ氏の偏った拘りが詰まっています。
日々の暮らしの味わいを経年変化として宿す氏のアイテムを日常に取り入れ、
無駄の中に潜む、豊かな彩りを楽しんでみてはいかがでしょうか。