EPISODE ofcustomized by nir exhibition ZOMBIE BAG/PARASITE SNEAKERS

nirは2010年設立のシューメイカー。
生活の中で生まれる些細なアイディアや発想を独自のデザインへと昇華し、
ハンドメイドでハイクオリティな物づくりに落とし込む、唯一無二のシューズブランドです。

nirの物づくりは
主にゼロからデザインを生み出すオリジナルアイテムと、
nirのクリエイティブに大きな影響を与えた
“マスターピース”をベースにカスタムを施す、カスタムアイテムとに分かれています。

(左)forceB・(右)nir fresh / nir
(左)candiru・(右)sparuganum / nir


従来のシューズブランドは、
多くの職人の手を渡りながら一足の靴を作り上げる、
分業の体制を取っていることに対して、
nirはそのほとんど全ての工程をデザイナー自身の手作業で仕上げています。

デザイナー本人のハンドメイドでしか形に出来ないクオリティを、
少量生産という諸刃の方法を取りながら靴づくりに落とし込んでいるnirのクリエイティブの原点はどこあるのでしょうか。


マスターピースの特徴を活かしつつ、
デザイン=カスタムを施すカスタムアイテムには、
深いスニーカーへの愛情と、クリエイティブに対する特別な想いがありました。

“寄生するデザイン”


本展「customized by nir exhibition ZOMBIE BAG/PARASITE SNEAKERS」では、
2012年から2018年までに製作したnirのカスタムスニーカー全14種を一同に集め、
そのデザインの特徴を図鑑のようにまとめた数量限定のzineと共に、
展示即売を行いました。

カスタムスニーカーを製作する際にnirが掲げているテーマは、
“寄生”です。

寄生とは共生の一種であり、
ある生物が他の生物(宿主)から栄養やサービスを持続的かつ一方的に収奪する場合を指す言葉です。ただし、寄生者は必ずしも栄養などを収奪するだけの存在ではなく、宿主にいくらかの“利益”をもたらす場合があります。

ベース素材として活用されているスニーカーは、アディダスのフォーラム、スーパースター、スタンスミス、
ナイキのエアフォースワン、コルテッツ、
コンバースのオールスター等のスニーカー界のレジェンドであり、マスターピースです。

ある意味でデザインとして完成されたスニーカーに対して、
機能美への尊敬を込めながら、さらにデザインを加え、最終形態へと導いていく。
謂わば、繊細なクリエイティブの技術と大胆なデザインに対する挑戦を、
スニーカーに対して寄生する行為と捉え、実践しています。

以下はnirが本展に寄せた寄稿です。

「作品づくりはリサイクルマーケットでの探索に始まりました。
古靴の山の中から素材として使える物を掘り出し、買い集めます。
買い集めたスニーカーはそのまま眺めるだけで終わるものもあれば、バラバラに解体されるものもあります。

履きつぶされて変形した靴に、風化してしまったもの特有の“美”を見つけて、
その“美”をより際立たせ、魅力的に見せる為にどうしたらいいのか悩みます。
スニーカーを凝視することで見えてくる構造の隙間に、
nirが得意とするヌメのレザーでハンドステッチやカッティングワークを施し、実用的によみがえらせるのです。」

“履かれる”ことが前提にある“靴の宿命”に向き合いながら、
風化することによる美しさを見い出し、敢えて経年変化しやすく、
縫製も難しいヌメ革を、自身のハンドワークで実用的に落とし込んでいる、
nirの類希なテクニックと美意識を、是非体感して頂けると幸いです。

ゾンビのように生まれ変わったスニーカーには、
それぞれ実在する寄生虫や擬態する昆虫の名前が付けられています。
まるで生き物のように擬態したnirのカスタムスニーカーと共に日々を生き、
“寄生”によって得られる日々の装いを、
楽しんでみてはいかがでしょうか。

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